さわらび大学レポート「認知症について」
さわらび大学レポート「認知症について」
2012.10.23
開催日時:平成24年8月9日(木)午後3時~午後4時 会場:小規模特別養護老人ホーム「カサブランカ」1階カトレアホール 講師:さわらび大学講師医療法人・社会福祉法人さわらび会理事長 元老年医学会評議員 山本孝之医学博士 講演名:認知症について 挨拶:山本ゆかりカサブランカ施設長 さわらび大学は、40年前から地域の皆様を対象に、保健・福祉・医療および歴史・文化・科学並びに時事講話など
幅広い分野の知識や教養の提供と地域交流を目的ではじめました。
今後も5月にオープンしたカサブランカを会場に開催いたしますので、お友達誘って皆様に来て頂きたいと思います。 講演:「認知症について」山本孝之医学博士 ■脳の特徴 認知症は脳の病気。脳はブドウ糖を原料として酸素を使って活動をしている。しかしブドウ糖も酸素も蓄えられないため、
血管から脳にブドウ糖、酸素を送り続けなければならない。適度な心身活動が大事。楽しくて幸せなときには血液がよく流れる。 脳はストレスに弱く、活性酸素がダメージを与えます。抗酸化物質(ビタミンE・C・ベーターカロチン・ポリフェノール)を
なるべく摂取して下さい。 脳は場所によって担当する働きが違う。この三つが脳の特徴。 ■代表的認知症 1.アルツハイマー病(ほとんどの方が該当) <発生要因>加齢、高血圧、糖尿病、脂質異常症、頭部外傷、遺伝 <特徴>いつの間にか発症し、絶えず進行し(側頭葉から始まる)一定の順番で、症状が発現する。 最近のことを、すぐ忘れる。場所が分からず迷子になる。時間や季節が分からない。衣類を着る順番が分からない。
じっとしていられない。徘徊、トイレの場所がわからず尿の失敗をする。目の前にいる人が誰かが分からない。このような順番で進行する。
2.血管性認知症(10人中3人程度) <発生要因>脳血管障害で、知能を担当する所がおかされると発症。高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動、喫煙など。
環境の変化(引っ越し等)も大きな要因。(前頭葉から始まる) 3.レビー小体型認知症(10人中1人程度) 進行性の認知機能の低下で、変動性がある。見えないものがみえる幻視や、パーキンソンニズムがある。 ■認知症の対応(これが大切) A リハビリ 日常生活動作の自立促進、特に排泄の自立を。 B 回想法 目と目を合わせ、スキンシップをしながら、短く分かりやすい言葉で、本人が自慢したいこと、一番活躍した時代のことをお尋ねし、
いつもほめる(1日に何回も) C 音楽療法 音楽の好きな人に、その人の好きな音楽を楽しんでいただく。楽しめる曲は、認知症の病型とその人の思い出によって違ってくる。 D 介護 1.認知症の三原則~いつも幸せに~ イ)いつも暖かい愛情と優しいいたわりを持って ロ)決して、しからず、制止せず (徘徊に出ようとするのを「行っちゃダメ」と怒るのではなく「お饅頭とお茶が用意できました。こちらへどうぞ」
など上手く誘導するなどの工夫を)
ハ)今できることで、みんなに役立つ働きをしていただく (ありがとうねと感謝の言葉を) 2.適度な心身活動でいつも楽しく 散歩、書道、お絵かき、風船バレー、園芸など1回20~30分程度 (時間が長いと酸化ストレスが増加) 3.いつも安心 ひとりだけにしておかない。環境はなるべく変えない(認知症悪化に繋がる)。 4.その他 いつも全身状態をよく見て、少しの変化も見逃さない。 幼児扱いしない(敬意を持って、ちゃんづけをしない)。 徘徊や日光浴を長い時間せず、節酒、禁煙。服薬管理をしっかりと。 原則として、自動車の運転はさせない。 E ご家族への対応 1.絶対に、ひとりではお世話をしないように ひとりでの介護は、患者虐待か、介護者の早死をまねく。 2.福祉サービスを積極的に活用 地域包括センターを積極的に活用し、福祉サービス利用のための要介護認定を受ける サービス利用(認知症対応型通所介護・認知症対応型共同生活介護・ユニットケア型特別養護老人ホーム) 3.無断外出行方不明発見ネットワークの活用 お名前や連絡先を、ご本人の分からないところに付ける等の工夫を。 4.「認知症の人と家族の会」への入会 <参加者からの質問> 「認知症と物忘れの違いについて教えて下さい。」 簡単言うと、例えば、お昼ご飯に何を食べたのかを思い出せないのが「物忘れ」。
お昼ご飯を食べたこと自体を思い出せないのが「認知症」です。