平成27年9月2日(火) さわらび大学レポート(一時限目)

平成27年9月2日(火) さわらび大学レポート(一時限目)

日時:平成27年9月2日(火)
場所:第二さわらび荘 ふれあいホール

講義 :皮膚疾患について(医療分野)
講師 :福祉村病院 皮膚科医 斉藤友紀子氏

福祉村病院・皮膚科医の斉藤友紀子医師を講師にお招きし≪皮膚疾患について≫をテーマに講義して頂きました。
前半は「皮膚のいろいろな疑問」について、後半は「加齢による皮膚の変化」についてお話しして頂きました。

1.皮膚のいろいろな疑問(前半)

<皮膚の色って?>
色鉛筆やクレヨンから「肌色」が無くなったのはご存知ですか?現在、肌色は「ペールオレンジ」や「うす橙」といった表記に変更されています。肌の色は人それぞれであり、肌の色の標準がうす橙とのイメージを与えかねないという理由から、2000年頃から現在の状況になっています。

<日本人の皮膚と外国人の皮膚の違い>
皮膚の色はスキンタイプといい、Ⅰ~Ⅵまでの6つのタイプに分類されます。Ⅰは真っ白の白人、日本人はⅢとⅣが多いです。一般的に白い皮膚ほど紫外線(UV)の影響を受けやすく、皮膚癌になりやすいと言われています。

<皮膚は臓器>
皮膚は人の体全体を覆っており、面積は1.6㎡、重量は体重の約16%を占め、人体で最大の臓器となります。その為、広範囲のやけどは危険!大人の場合は全体の20%以上、子供は10%以上のやけどで命の危険があると言われています。

<皮膚の表面 指紋について>
同じ指紋を持った人はおらず、手足20本の指の指紋はすべて異なります。双子やクローン人間でもそれぞれ指紋は違います。また「先天性指紋欠如症」という、生まれつき指紋のない一族が世界でわずか4つの家系に存在しています。

2. 加齢による皮膚の変化(後半)

<加齢による表皮、真皮、皮下組織の変化>
① 表皮が薄くなる
② 皮膚の弾性線維の数が減少
③ 脂線や汗腺が減少
④ 皮下組織の脂肪が減少
⑤ 皮膚にある知覚神経(触覚、痛覚、温覚、冷覚)の神経線維が加齢とともに変化
⑥ 光老化

<表皮の保湿システムと皮脂欠乏症>
皮膚がうるおうためには、皮脂が作る皮脂膜、天然保温因子(NMF)、セラミドからなる角質細胞間脂質の3つの物質がバリアを作り、皮膚内部の水分が蒸発しない仕組みを作り出しています。しかし、このバリア機能が壊れてしまうと、皮膚の水分が過剰に蒸発してしまい「皮脂欠乏症」となります。これらは加齢やストレス、睡眠不足、日焼けなどが主な原因となります。

<スキンケア対策>
皮脂欠乏症を防ぐため、日常生活で心掛ける7つの事柄をご紹介いたします。
① お薬を正しく使うこと(白色ワセリン、尿素製剤、ヘパリン類似物質製剤)
② 身体をごしごし洗わない
③ 皮膚のうるおいを保つこと
④ お部屋の乾燥に注意
⑤ かかないことが大切
⑥ 刺激の少ない肌着に
⑦ アルコールは控えめにする

前半は皮膚についての様々な雑学に驚き、後半は専門的なお話しに皆様真剣な面持ちで受講されていました。斉藤医師の人柄が良く伝わり、楽しく知識を得られたという感想が多く見られました。