平成27年度さわらび会新規採用職員研修1日目レポート

平成27年度さわらび会新規採用職員研修1日目レポート

「さわらび会の理念と歴史」
医療法人・社会福祉法人 理事長 山本孝之

さわらび会の理念は  みんなの力でみんなの幸せを です。
幸せとは、自立して自由に生き、まわりの人に役立つ働きが出来る時に感じるものと、私たちは考えています。

自分が自立していなければ、自由に行動できません。自立とは日常生活が自立して自由に出来ることと、経済的に自立することです。
入社されたみなさんは、今日から経済的にも自立し、本当の意味で、自由に生きられます。今日から幸せな人生が始まります。
そして、みなさんの回りにいらっしゃる、日常生活に支援が必要な方の自立のお手伝いをするという、非常に価値のある仕事を今日から始められます。

皆様の幸せを守るには自立度を高めることが大切で、皆様の自立度を高めるために、福祉村の中心には、リハビリ専門病院を置きました。まわりの人に役立つ働きを見つけやすくするために、年齢も違えば、障害の質も異なる人々がご利用される、あらゆる福祉施設をまわりに配置しました。
さらに経済的な自立も必要と考え、クリーニング工場を作り障害者の方の就労の場とし、経済的な自立を目指しました。

更に、さわらび会は、福祉村をご利用いただく皆様だけでなく、広く地域の皆さまの幸せも願っています。職員たちはみな、地域に目を配り、絶えず変化する社会の状況も注意深く見守っております。今日入社されたみなさんも、社会の変化をよく見て、自分の能力を発揮できる場所で働いて下さい。それがみなさんの幸せに繋がります。

さわらび会の歴史は今から50年以上前の1962年、脳卒中のリハビリ病院(山本病院)から始まりました。1960年代の日本は、脳卒中の最盛期でした。当時は、脳出血が多かったこともあり、治療の原則は、「倒れたその場で絶対安静」でした。その結果、殆どの方が寝たきりになられました。
自立して自由に生きるのが、幸せの第一条件ですから、脳卒中の患者さんには自立して日常生活が送れるリハビリがもっとも必要と考え、豊橋で一番最初に、リハビリを行う病院となりました。また、介護職を新たに作り、看護師でなくとも入院患者さんの介助ができるようにしました。
そして、山本病院には認知症の患者様がいらっしゃり、私は認知症を生涯の課題にしようと決意し「認知症介護の三原則」を作りました。認知症が進んでしまい、排泄の失敗や徘徊がある。自分の尊敬していた家族がそのような状況になると叱咤してしまうことがあるからです。

「認知症介護の三原則」
1.いつも暖かい愛情と笑顔で
2.決して叱らず、制止せず
3.今、できることをしていただく

みなさんは認知症の方のケアをすることになります。認知症は大脳の働きが悪くなり、判断が出来なくなる病気ですが、自尊心を傷つけないような介護が必要です。
人生の先輩方に、経緯を持って介護をして頂きたいと思います。

さわらび会は「みんなの力でみんなの幸せを」守るということを目的として活動している組織であることを忘れないで下さい。その事が皆さまの幸せに繋がります。(あかね荘 高橋)

 

 

「さわらび会職員としての心構え」
社会福祉法人さわらび会 専務理事 山本ゆかり

どんな仕事でもトンネルに入る時期とそのトンネルを抜け出す時期がある。また、社会福祉法人は景気に左右されることはないが、国の政策によって、大きく変わることがある。2015年度の改定で介護報酬が引き下げられることが決定しており、私たち社会福祉法人は、3年後の改正に向けて運動していきたい。障がい者も高齢者もどんな状況でも日本に生まれて良かったと全国民が思うことができる「美しい国ニッポン」を実現していきたい。
そのためにも、さわらび会の基本理念である「みんなの力でみんなの幸せを」を身につけていただきたい。一人の力は微力であり、大したことはないが、集まると大きな力となる。1,100名以上の職員が一体となって、感謝される仕事をやっていただきたい。これまでもさわらび会では、地域貢献、社会貢献の活動をしてきた。例えば、認知症サポーター養成講座、キャラバン隊等である。施設内だけでなく、地域で貢献している。また、阪神淡路大震災の際も入浴車にて神戸で援助し、4年前の東北地震では募金から始まり、現地での瓦礫の片付け、介護の人手不足に対して、職員を派遣してきた。

認知症介護の三原則
1. いつも暖かい愛情と笑顔で
2. 決して叱らず、制止せず
3. 今、できることをしていただく

理事長が仰せのように、さわらび会の宝物は人材である。皆さんの助けがあって、さわらび会が実現している。職員一人ひとりが、一つひとつ重ねていき、キャリアアップしていただきたい。継続することによって、大きな華を咲かすことができる。マンネリな仕事はせず、日々改善提案していくことが必要である。小さなことでも改善していって欲しい。環境への配慮もその一つである。東北地震を機に節約し、小さなことを積み重ね、無駄を省き、30%の削減に成功した。
就職して最大の喜びは、いい出会いがあること。それは、自身も相手側にとって、良い出会いと思われるようにして欲しい。いろいろな立場の職員がおり、専門職の集まりである。その専門性を磨いて、今、いるところが最高の場であることが一番である。

科学的介護について
5つのゼロ… おむつ 胃ろう 骨折 拘束 褥創
4つの自立… 認知症ケア リハビリケア 口腔ケア 看取りケア
さわらび会では研究発表を行っている。どんな小さなことでもテーマにすることはできる。また、その発表会の報告を参考にして良いケアを目指して欲しい。取り組む姿勢が大切である。(本部 井上)

 

 

「さわらび会の概要」
医療法人・社会福祉法人さわらび会 統括本部長 山本左近

<研修内容>
基本理念について
さわらび会には、「みんなの力でみんなの幸せを」という基本理念が法人設立当初からあります。実用日本語用語辞典によると、基本理念とは、組織がその根本に据える理念や目的、思想のことを指すそうです。ここで重要なのは、また理念という語句が入っていることです。「理念」という言葉がどういうことなのか理解していないと、基本理念の意味を理解することはできません。では、「理念」とは何でしょうか。目的に達するための、こうあるべきという考え、思想です。基本理念は、組織がその根本に据える、理念(ある事柄についてこうあるべきだという根本の考え)、目的(実現しようとして目指す事柄)、思想(人がもつ、生きる世界や生き方についての、まとまりのある見解、考えること)のことです。私たちは、みんなの力でみんなの幸せを守るため、ここに存在しています。みなさんは縁あって、さわらび会の一員として、ここに席を並べているわけです。
仕事をするにあたって、基本理念が一番大事です。今日、それを学んで下さい。

幸せって何ですか?
みなさんの幸せとは、何ですか。家族や友達と一緒にご飯を食べたり、笑ったりして楽しく会話したりすることが幸せと感じていらっしゃいますね。では、理事長の言っていた幸せとは、何でしたか。それは、自立して自由に生きること、人の役に立つことです。個人の思う幸せとは、いろいろな形があります。法人の基本理念においては、幸せとは、自立して自由に生き、人の役に立つことを幸せと考えています。今自分にできることで、周りの人の役に立つ働きができる。それが幸せです。

福祉村の「福祉」って何ですか?
私たちが今いるこの場所は、「福祉村」といいます。なぜ、そう呼ばれるのでしょうか。
そもそも、「福祉」とは何だと思いますか。ひらがな4文字で、とてもわかりやすい表現で言い換えることができます。私の講義を最初から聴いていれば分かります。「幸せ」です。
福祉とは、しあわせ、ゆたかさです。

福祉村=幸せ村
福祉村は、幸せ村です。山本理事長が今から53年前、山本病院を開院してから福祉村を作ってきました。1973年、機関誌さわらび第1号にて、老人病院、公園、施設のある環境が作りたいと理事長は理想を掲げました。その根本には、幸せという言葉があります。みんなの力でみんなの幸せを守れる環境を作りたかったのです。

福祉村の概要
福祉村には、認知症とリハビリの専門病院をはじめ、高齢者施設、障害者施設、障害を持つ方が通うしろがね、働く明日香があります。また健康なお年寄りが暮らす軽費老人ホーム若菜荘があります。職員寮や保育園、喫茶店や売店、郵便局もあります。山本理事長は、これらを一つの場所に作りました。みんなの力でみんなの幸せを守るためです。

福祉村を作った第1の目的は、お金儲けではありません。みなさんの幸せを守るためです。
また、さわらび会は、豊橋市全域に施設があります。北部はさわらび荘、南部にカサデヴェルデ、中心部には常盤、カサブランカ、シャトーローズ八町もあります。在宅支援も重要な取り組みとして、40年以上前から取り組んできました。

福祉村には、なぜクリーニング工場があるのでしょうか。障害を持つ方が、働くためです。
障害を持っている方の中で、なかなか働く場所が見つけられない方がいます。
お金を渡されるだけであとは家でじっとしている生活は、精神的に満たされますか。働くと、自分でお金を稼いで、自由に使うことができます。働くことで本当の自由を得るのです。障害があっても、できることはやっていただくという考えのもと、クリーニングセンターは作られました。普段私たちが行っている当たり前の幸せ、経済的自立と、精神的に満たされること。それを得るチャンスは誰にでもあります。障害を持つ方の幸せを守ることは、最も意義のあることだと理事長は考えました。

目的達成する方法
実現するための努力をして、理事長は、福祉村を設立しました。
何かを成し遂げたいときは、するべきことをきちんと整理して理解しないと、いくら頑張っても、達成できません。目的を達成するには、目標設定します。
目的:障害者の幸せを守る
目標:経済的な自立支援のため、〇万円
手段:クリーニング工場を作ることで、雇用の機会を増やす
目的達成するには、目標(具体的な数字)と、手段を決めましょう。これは、仕事をするうえで、基本理念と同じくらい理解してほしいことです。ダイエットにたとえると、何キロやせる、という目標は設定しても、何がしたいか見失ってしまうと、そのダイエットは成功しないと思います。人間は、辛くて大変なことを継続するのが得意ではありません。目標が目的になってしまうと、なかなか成功しません。トライアスロンに例えて話します。勝つためには、どうするべきか。競技それぞれの目標タイムを立てます。そのためには、スイムだったら泳ぎ方、手段を選びます。目的、目標、手段は常に関連していて、手段をいかに選ぶことがとても重要になります。平泳ぎを選ぶのではなく、クロールですよね。
今何をすべきか、上位目標からみれば目標です。何のためにするか、下位目標からみれば目的です。マラソンで優勝したいとします。前回の優勝者のタイムが三時間半だとすると、3時間29分でゴールすればいいのです。これが目標です。では、そのために1日10キロ走るとします。そのために朝早く起きることにします。朝早く起きる目的は、10キロ走るためで、10キロ走る目的は、マラソンで3時間29分で走って優勝することです。
さわらび会の目的はみんなの力でみんなの幸せを、です。介護士、看護師、事務員、いろいろな職種がありますが、目の前にいる患者さんや利用者さんの幸せをみんなで守ることです。それに対して、何をすべきか考えていくわけですが、それが、今説明した内容そのものです。迷ったときは、今日の目的と目標と手段の話を思い出してください。頑張り方が合っているのか、目標と手段の選び方が合っているか、見直して下さい。人はうまくいったときに、自信を持てるのです。成功体験を積み重ねることで、人は自信がつきます。仕事においても、沢山成功してほしいです。

PDCAサイクル
ビジネスの世界では、PDCAサイクルというものがあり、医療、福祉の分野でも重要視されてきています。
1.計画(plan) 2.実行(do)  3.検証(check) 4.再評価(act)
これは、ケアをしていくことでとても大事なことです。今のケアで合っているのか、再確認していくことが重要です。例えば、食事量など、日々の業務で直面し続ける課題です。

毎日の気づき
大事なのは、毎日の気づきです。大きな結果、差を生みます。いつも、疑問形で考えて下さい。前に座っていらっしゃる方は、体調はいいか、眠れたか、どういう状態なのか、私には何ができるのか。毎日違うことを気づいて下さい。その気づきに対して、どう対処するか考える次のステップへ移ります。判断できないことは先輩に聞いて下さい。日常でたくさん目にする事例、瞬間があります。よく気づくことがとても大事な要素となります。一つでもいいから、その気づきを、報告することによってその利用者が幸せになれたら、あなたは立派なさわらび会職員です。一人でなく、みんなで守れればいいのです。

みんなの力でみんなの幸せを

理事長は、医師として人を診るだけではなく、人の幸せを守ることを信条としてきました。
幸せのために、みんなで努力してきました。
みんなが幸せになれるように、手を取り合い、支え合うことによって、この福祉村から、この地域全体の幸せも守って行きたいと思います。
みんな幸せになる権利を持っています。一緒になってこの権利を守っていきましょう。(あかね荘 真鍋)

 

 

「社会人としての基本的ルールとビジネスマナー」
医療法人さわらび会 福祉村病院 副院長 山本淑子

<研修内容>
社会人としての基本的なルールを理解する

1、社会人としての自覚と責任感
2、仕事の取り組み方
3、接遇マナー

1 社会人としての自覚と責任感では
働く意味を考え、何のために働くのか、社会人になったら何が変わるのか。学生と社会人の違い、作業と仕事の違いを知る。会社に入って働くということは会社の看板を背負って働くということについて講義して頂きました。

2 仕事の取り組み方では
社会人に必要な5つの意識
顧客意識 ・ コスト意識 ・ 協力意識 ・ 安全意識 ・ 改善意識
について講義して頂きました。

3 接遇マナーでは
第一印象が重要 ・ 身だしなみ ・ あいさつ ・言葉遣いについて講義して頂きました。

さわらび会の一員として、さわらび会の理念である「みんなの力でみんなの幸せ」を守るために、いつも笑顔で心ある接遇を実践できるよう、新入職員だけでなく、在職職員ともに社会人としての自覚と責任感をもち、気持ち新たに職員一同尽力して参ります。(福祉村病院 近田)

 

 

「さわらび会の研修について」
社会福祉法人さわらび会 事務局長 藤田聰一郎

近年、新規事業所の開設にともない、多くの職員を雇用している。新規に採用された職員が、利用者様に行うサービスの質を向上させるうえで、研修は非常に重要である。
さわらび会の研修体系は「さわらび大学」「職員研修」「さわらび会研究発表会」の3本柱で構成されている。
「さわらび大学」は職員だけではなく地域住民も対象にしており、大変ユニークな研修である。昨年は4回行ったが、今年度は回数を増やす予定である。
「職員研修」は「基本研修」「職階別研修」「テーマ別研修」「職場研修」に分かれている。さらに「職階別研修」は、「新規採用職員研修」「初任者研修」「中堅職員研修」「管理者研修」に分かれている。また、さわらび会研修基本計画を資料をもとに説明。
重点研修は、「新規採用職員研修」及び「初任者研修」です。また、新たに「基本研修」を実施する。
「さわらび会研究発表会」は、昨年は11組の発表があった。その中で、最優秀賞、優秀賞、審査員特別賞を取った5組の方が、入社式で表彰された。賞を取られた方を対象に、外部の発表会での発表を今後検討してしていく。(あかね荘 杉山)