第12回研究発表会@研修委員会
第12回研究発表会@研修委員会
12月12日にさわらびグループ 第12回研究発表会を開催し、9グループが医療・高齢福祉・障害福祉等について研究発表を行い86名が参加しました。審査員として豊橋市社会福祉協議会 松井晴男氏、豊橋創造大学保健医療学部教授 八木幸一 氏、宝陵高校非常勤講師 山本浩二 氏が参加してくださいました。
発表内容、講評
①「認知症患者様の転倒・転落防止に向けた取り組み」
福祉村病院 理学療法士 鈴木颯太
転倒・転落リスクの評価における、アセスメントシートとバランス評価尺度 SIDE を併用することの有用性の検証
<八木氏>
転倒について2つの指標で実施し、検証し対応が出来ていたのではないか。今後、予防ができる転倒と予防することが難しい転倒と分けて対応することが必要である。
<山本氏>
予測しながら試みることが出来ている。今後に期待したい。
②「生活機能向上連携加算における連携強化」
老人保健施設ジュゲム 作業療法士 船藤 悠太
生活機能向上連携加算取得のためのリハビリ専門職の訪問において、LINEWORKSを入居者の状態把握に活用した事例の報告
<八木氏>
映像をみて、利用者と直接話ができていた。今後もLINE,映像、画像を活用することを進めていただきたいが、利用者の求めるもの、職員の求めるもの、専門職が求めるものは違いがあると思われるのでマッチするように実施して欲しい。
<山本氏>
新しい技術を使って連絡、連携をしている。色々な形で情報共有してフィードバックするといい。新しい技術に挑戦する意欲が素晴らしい。
③「BPSD症状の強い方への取り組み」
福祉村病院介護医療院4階 介護士 鬮目祥代他1名
認知症周辺症状(BPSD)の強い方に対し、ひもときシートを活用し攻撃性を改善した事例の報告
<八木氏>
ひもときシートを使って、ぼんやりしていた問題を明確化していた。ひもときシートは職員にも使用出来るのではないか。
<山本氏>
利用者が変化していくと職員の意欲が高まっていくのではないか。研究発表会に参加したことも現場に活かす姿勢が大切。
④「認知症初期集中支援チーム(はつらつチーム)の取り組み」
福祉村病院介護医療院5階 介護士 山口暁子
介護サービス利用を拒否する事例に、認知症初期集中支援チームが介入した活動報告
<八木氏>
難しいケースやアプローチの難しいことも多いと思う。チームのスキルアップを目指しているが、人間性なのか知識なのか、何を高めていくのか明確化して身につけていくとよい。
<山本氏>
どこに相談していいのかわからない、知らないという現状があると思う。様々なケースに取り組むモデルとしての活躍を期待する。
⑤「眠りSCAN活用への取り組み」
特別養護老人ホームさわらび荘 介護士 熊谷ひらり
利用者の睡眠障害の改善及び事故防止に眠りSCANを活用した事例報告
<八木氏>
日中の活動の改善に良いのではないか。そのための睡眠データを蓄積して欲しい。
<山本氏>
日中の生活の改善が業務改善、職員の精神的負担につながっている。数値も大事だが職員の精神的負担軽減が重要。
⑥「虐待防止への取り組み」
障害者支援施設珠藻荘 生活支援員 岩水友美
職員による虐待、不適切ケアの防止に向けた取組の報告
<八木氏>
メッセージの内容に効果があるのか、スマートフォンで送信することが効果があるのか。従来のやり方でなく、新しいことに取り組んでいる。
<山本氏>
人が人を介護している以上、虐待は永遠の課題である。どのように防いでいくのかも永遠のテーマであり取り組んでいく必要がある。虐待とは何かは時代と共に変化するので勉強が必要である。
⑦「認知症症状による無断外出の軽減について」
デイサービスセンター八町 介護士 村松貴子他1名
利用者への継続的な声かけによって、無断外出企図の頻度を軽減した事例の報告
<八木氏>
評価ではあまり変化がみられないが、BPSDは減少している。なぜ、そういう訴えがあるのかを理解することが大切である。
<山本氏>
利用者の日常生活について取り組んだ結果、安定につながった。職員のモチベーションにもなったのではないか。時間がかかるが大切なこと。
⑧「装具作成と日常生活」
障害福祉サービス事業所しろがね 生活支援員 太田延行他1名
障害者への装具作成における成果と課題の報告。
<八木氏>
私にも経験がある事例である。患者さんの意見と専門職の意見の相違、難しさを感じた。
<山本氏>
利点もあるが、欠点もある。色々試して改善していく、力を注いでいく。それが利用者のために繋がっていく。
⑨「トイレ誘導が進まなかった入居者へのおむつ外しの取り組み」
特別養護老人ホーム天伯・第二さわらび荘 理学療法士 廣瀬正明
利用者の排尿機能に着目し、IT機器を活用しADLを改善した事例の報告
<八木氏>
トイレに行くことが出来るという、その人の活動性、機能性を高めることが重要。
<山本氏>
日常生活の改善のためには、状態を把握して、どうしたらよいのか考え、具体的な援助方法を試していくことで、日常的な活動の発展に繋がる。
出席者の投票の結果、以下の発表が入選となりました。
<最優秀賞>
②「生活機能向上連携加算における連携強化」
老人保健施設ジュゲム 作業療法士 船藤 悠太
⑨「トイレ誘導が進まなかった入居者へのおむつ外しの取り組み」
特別養護老人ホーム天伯・第二さわらび荘 理学療法士 廣瀬正明
<優秀賞>
③「BPSD症状の強い方への取り組み」
福祉村病院介護医療院4階 介護士 鬮目祥代他1名
⑤「眠りSCAN活用への取り組み」
特別養護老人ホームさわらび荘 介護士 熊谷ひらり
<松井晴男氏より全体講評>
理事長も言われていたが、さわらび会は日々工夫をしながら業務することに職員が取り組んでいる。そもそも、介護保険制度が開始された当初に言われたのは、利用者本位であることだった。どうやったら利用者本位の個別支援ができるのかという視点。それがどんな研究発表をすればよいかということである。多職種連携は実際には難しいことである。さわらび会は多職種連携を実践している。
調査では豊橋の人口は1万人増えている。しかし、現在はピークを過ぎてしまった。子どもは1万人減少、15歳~64歳人口は2万院減少、高齢者は5万人増加。このような少子高齢化、人口減少の社会では連携、工夫、負担軽減、リスク回避が不可欠である。そのために研究して質の高いサービスのために、このように研究発表会でも情報共有を実践している。さわらび会は医療と福祉が繋がっており、それはものすごい力になっている。新たな指標に向かって多方面から取り組んでいる。IT化、ICT化、LINEWORKSなど新しい技術もすでに始めている。企業ではDX(デジタルトランスフォーメーション)と言われているが、さわらび会も新しい技術を取り入れ新たなさわらびブランドに向かって、より質の高いさわらびブランドに向けて取り組んでいる。さわらび会の今後に期待している。