2020年度新規採用職員研修レポート(2日目)

2020年度新規採用職員研修レポート(2日目)

講義:感染症について
講師:福祉村病院 院長 小橋修
感染症についてご教授頂きました。
「感染症にかからない」、「感染症を人にうつさない」、「医療従事者は、感染症を持ち込まない、持ち出さない」、「手洗い」、「うがい」、「マスク」、「咳エチケット《公衆衛生》」これらの事柄が、我々の働く高齢者介護施設における感染対策にとても大切だということです。
また、感染しても発病しないケース(無症侯感染者)が一定の割合であり、発病はしなくても他人を感染させてしまう恐れがあると述べられました。新規採用職員の皆さんも感染症について正しく理解し、感染拡大防止に努める事が大事と感じられたことでしょう。
(福祉村病院 近田)

講義:社会人としての基本的ルールとビジネスマナー
講師:福祉村病院 副院長 山本淑子
働く意味を考え、何のために働くのか、社会人になったら何が変わるのか。学生と社会人との違い、作業と仕事の違いを知り、会社に入って働くということは会社の看板を背負って働くということについての講義を頂きました。
さわらび会の一員として、さわらび会の理念である「みんなの力でみんなの幸せを」を守るために、いつも笑顔で心ある接遇を実践できるよう、新人職員だけでなく、在職職員と共に社会人としての自覚と責任感をもち、気持ちを新たに職員一同頑張っていきましょうと締めくくられました。
(福祉村病院 近田)

講義:組織活動の理解
講師:特別養護老人ホーム さわらび荘 施設長 太田育郎
この講義では、組織活動の理解や対人支援の基本的視点についてご講義頂きました。
組織活動の理解では、組織とは何か、そして組織人としての意識、組織マネジメントについて学ぶ中で、常に顧客のニーズに目を向け、それに見合ったサービスを提供するという顧客意識を持つこと、そして常に改善意識を持つことが重要であるとのことでした。
対人支援では、様々な視点により自立を支援し、本人らしい生活の質(QOL)を高めることが重要とのことでした。また相談援助においては傾聴の姿勢を基本とし、利用者様の様々なそぶりや表情など多面的に観察し情報収集することが大切とのことでした。
まとめとして、これらのことに取り組む上で自分自身をマネジメントし、常に自分自身を高め進化させる。すべての答えはこれからの各自の中にあるはずです、とのことでした。
(珠藻荘 佐宗)

講義:身体障害者福祉について(1)
講師:障害者支援施設 珠藻荘 施設長 黒柳晴彦
この講義では法律を含め現代社会における障害者の実情と、施設利用者の状況についてご講義頂きました。
障害者の実情については、障害者基本法の第1条から第5条の解説から障害者施策の変遷、障害者総合支援法に基づく障害の種類や障害福祉サービスの体系についてご講義を頂く中で、地域社会における共生、差別の禁止、国民の理解・責務、国や地方自治体がすべきことを学びました。
また施設利用者の状況については、珠藻荘の利用者様の区分状況や障害状況などについて具体的に数値や傷病名・障害名で学ぶ事が出来、より一層入所されている利用者様の状況について理解を深める事が出来ました。
今回ご講義を頂き、地域社会における共生と差別の禁止について再確認すると共に、さわらび会の目的・役割について再認識いたしました。
(珠藻荘 佐宗)

身体障害者福祉について(2) 
講師:障害福祉サービス事業所 しろがね 施設長 石黒稔
この講義では、さわらび会の障がい者(在宅利用者)へ各障害者施設がどのようなサービスを提供しているのかを学びました。また、支援の仕方として、ノーリフティングケアでは利用者が安心・安全なケアを受けられ、また、職員が安心で安全なケアを提供できることを知りました。それ以外にも、医療的ケア、強度行動障害の方への支援の在り方、身体障がい者手帳によって、個々の障がいに合った車いすが支給されることなどを実例を通しながら学ぶことが出来ました。
(明日香 安田)

知的障害者福祉について
講師:障害福祉サービス事業所 明日香 施設長 井上幹詞 
障害者支援施設 あかね荘 施設長 今泉悟
この講義では、知的障がい、発達障がい、自閉症、ダウン症、統合失調症などの各障害について種類・特性を学び、また、障がいを持たれた方との接し方を具体的に聞くことで理解を深めることが出来ました。
また、知的障害者の施設である、明日香とあかね荘の説明を各施設長よりしていただき、通所施設と入所施設の違いを学ぶことが出来ました。
(明日香 安田)

講義:高齢者福祉について(1)
講師:社会福祉法人さわらび会 若菜荘 施設長 山田和史

若菜荘の説明と高齢者を支える制度についてのお話がありました。
・ 若菜荘は、軽費老人ホーム。基本的には自立した生活ができる方が利用している。食事がついたワンルームマンションというイメージ。60歳以上の方が対象。軽費老人ホームにはA型とB型があり、食事が付いているかついていないかで違いがある。現在、日本全国で250弱の施設がある。
・ 高齢者福祉とは、社会福祉制度の一分野で、特に高齢者を対象とするサービスのことを指し老人福祉とも呼ばれる。広義では高齢者の所得保証や医療保障など含む。
・ 福祉:老人福祉法は、1963年(昭和38年)にでき、高齢者が生きがいを持って健康で安心した生活を送ることが出来るよう、社会全体で支えていく。心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な措置を講じ、老人の福祉を図ることを目的とする。
1960年代 高齢化率5.7% ※現在の豊橋市の高齢化率 約25パーセント
このころは、自分で行きたい施設を決めることが出来なかった。措置制度の時代。
・ 平成の時代の変化を簡単に説明すると、措置から契約になった。法律的には、国が管轄してきたものが、各自治体に管轄が移ったという流れがある。
・ 現在は、色々な福祉制度は、「住み慣れた市町村で最期まで」という中で各自治体が主になって整備されている。
・ 介護:介護保険法は2000年(平成12年)にでき、要介護状態となった者等が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保険・医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うことを目的とする法律。利用者の主体的な選択により、保険・医療・福祉にわたる様々なサービスを総合的に利用できる仕組み。保険料も自分たちが納める社会保険方式。
・ 医療:高齢者の医療の確保に関する法律、2006年(平成18年)に老人保健法を改正し、後期高齢者医療制度がはじまった。医療・介護総合確保推進法が2014年(平成26年)公布・施行され、地域包括ケアシステムの構築へと進んでいる。保険者である市区町村が中心で、地域によって異なる高齢者のニーズや医療、介護の実情を正確に把握し、住民や医療・介護施設など地域の多様な主体を活用して高齢者を支援することが求められている。
・ 住まい:高齢者の住居の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)の規定により、有料老人ホーム フェリス福祉村。サービス付き高齢者向け住宅 シャトーローズ八町が建てられている。
・ 虐待:高齢者の虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(高齢者虐待防止法)は、65歳以上の高齢者の虐待防止、養護者(高齢者を世話する家族等)に対する支援等を促進することにより、その権利利益を擁護することを目的とした法律。認知症高齢者の権利侵害予防対策として、成年後見制度や日常生活自立支援事業(社会福祉協議会)があります。
・ 移動:高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)は、従来の交通バリア法とハートビル法を一本化し、旅客施設、特定建築物(学校、病院、老人ホーム等)、建築物特定施設(出入口、廊下、階段、エレベーター等)などについて、高齢者や障害者等が移動等を円滑に行えるようにするための基準が定められている。
しかし、私たちの身の回りにはまだまだ整理されてないところがたくさんある。日ごろから、駅やショッピングモールなどバリアフリーになっているか意識して見ていってほしい。(第二さわらび荘 末松)

講義:高齢者福祉について(2)
講師:社会福祉法人さわらび会 フェリス福祉村 施設長 長坂敏幸

高齢者保険福祉政策の流れについてのお話がありました。
 1960年代は、高齢化率(総人口に占める65歳以上人口の割合)5.7%だった。1963年に老人福祉法制定、特別養護老人ホーム創設、老人家庭奉仕員(ホームヘルパー)法制化された。
1970年代になると、高齢化率7.1%だが老人医療費無料化のため老人医療費増大。   
1980年代になると高齢化率9.1%。1982年、老人保健法の制定に伴い老人医療費の一定額負担が導入され、老人医療費無料化はなくなった。1989年、施設の緊急整備と在宅福祉推進のためゴールドプラン(高齢者保健福祉推進十か年戦略)が策定。
 1990年代、高齢化率12.0%。1994年新ゴールドプランを策定し、さらに施設整備、在宅介護の充実がはかられた。1995年、高齢化率14.5%。1997年に介護保険法が成立した。
2000年代、高齢化率17.3%。2000年介護保険法施行。2005年介護保険法一部改正。
介護保険導入の経緯と意義は、高齢化の進展に伴い要介護高齢者の増加、介護期間の長期化など介護ニーズは増大し、一方で核家族化の進行、介護する家族の高齢化など、要介護高齢者を支えてきた家族をめぐる状況が変化し、そこで高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組み(介護保険)を創設。
10年が経ち、介護保険は地域包括ケア体制の整備という方向に大きく変わった。地域包括ケアとは、高齢者が住み慣れた地域で、安心してその人らしい生活を継続するため、高齢者のニーズや状態の変化に応じて、切れ目なく必要なサービスが提供される体制を整備すること。その窓口として地域包括支援センターができた。20年経ち、介護保険は自己予防、家族や近所の人の助けなど総合扶助という考え方強く入るようになった。
さわらびグループでは、認知症介護の三原則(①いつも暖かい愛情と笑顔で。②決して叱らず制止せず。③今、できることをしていただく。)福祉村の三原則(一人ひとりの違いを尊ぶダイバーシティ。同じ目線で触れ合うこころのバリアフリー。自立するチカラを育むノーマライゼーション。)を大事にし、みんなの力でみんなの幸せを実現するため、医療と福祉の連携し、世代と障害の種別を越えた支援を行っている。認知症の方へのケアとして、さわらびグループでは、パーソン・センタード・ケアを中心にやっている。洞察力を働かせて、その人の言動の意味を理解して、共感し、その人のニーズに合ったケアを行うこと。当たり前の生活を当たり前に。そのために「安心できる生活」を支援すること、色々なことに気づくことが出来る人が良い介護者。
最後に、介護の「割れ窓理論」の話をされ、言葉遣いが変われば心が変わり、心が変われば態度が変わり、態度が変われば自分が変わる、と締めくくられました。
(第二さわらび荘 末松)