平成26年12月4日(木)「平成26年度 研究発表会」

平成26年12月4日(木)「平成26年度 研究発表会」

日時:平成26年12月4日(木)

場所:福祉村病院 大会議室

「医療法人・社会福祉法人 さわらび会 平成26年度研究発表会」が行われました。

山本孝之理事長の開会挨拶から始まり、今年度は11のグループが医療・高齢者福祉・障害者福祉それぞれに専門性の高い実践を発表しました。

発表①
「浮腫がみられる利用者に対しての間欠的空気圧迫法の実践」
しろがね 理学療法士 鳥居浩平

概要
浮腫、歩行障害がみられる利用者様に対して、誰でも簡易に行うことができる機器を使用し効果を検証した。使用機器は当施設において日常的に使用されているものであり、外科的手術後の深部静脈血栓症予防、浮腫に効果的であると多数の報告がある。今回、特に浮腫が強くみられる下腿の周径を指標として計測し減少がみられた。課題もあり、浮腫が残ったこと。機器の継続使用、運動機会の増加、食生活の調査改善が必要との検証となった。

発表②
「認知症リハビリプロジェクト『音楽』の取り組みについて」
祉村病院リハビリテーション部 作業療法士 市川由佳
理学療法士 鈴木啓太郎

概要
当院では、約2年前から認知症患者を対象とし、患者の情動安定・生活の質向上を目的とした非薬物療法である認知症リハビリプロジェクトを行っている。認知症リハビリプロジェクトでは様々なプログラムを実施しており、今回は音楽の取り組みが与える影響ついて、血圧、脈拍、唾液アミラーゼ、表情スケール、気持ちスケールを用いて検証を行った。検証の結果、①身体的運動が促された②気分転換が図れた③ストレスの軽減されたことが推察された。

発表③
「グループホーム常盤での実践報告『小さな音楽会~仲間・家族と共に~』」
グループホーム常盤 介護支援専門員 高木秀之
介護士       伊藤美佐子

概要
音楽界を行うことで①入居者同士の交流の促進 ②ご家族との交流の促進を図った。毎週土曜日の午後、常盤ホールにて、ご家族を交えて一緒に唄を歌い家族交流会の企画で、ご家族の前で発表をめざして唄の練習を行った。音楽会を開催したことで、利用者様ご夫婦や利用者様同士の関係性が向上した。また、ユニットを超えての交流や他のレクリエーションへの意欲、笑顔が増えた、職員間での交流が図れるなど様々な効果があった。

発表④
「気管切開離脱に向けての看護的援助の取り組みと他職種との連携」
福祉村病院1病棟1階 看護師 鈴木智美
看護師 塩野美代子

概要
気管切開は気管にカニューレを挿入し、確実な換気が得られるという利点がある。しかし、その一方で感染のリスク、カニューレの刺激による違和感、疼痛、そして発語困難による精神的苦痛も生じる。今回スピーチカニューレ挿入中の患者様を受け持つ事ができた。上手く話せない事へのストレス、痰が詰まるたびに苦しいと訴える患者様。気管抜管に向けて私達が出来る援助は何かと考えDr、NS、介護、RH、専門医を交え抜管に向けての取り組みを行った。その結果、気管切開離脱が可能となった。気管切開離脱を行ったことで、看護ケアを再確認し、みんなで同じ目線で同じ看護を提供することができ、他部署との連携が不可欠と再認識できた。また、このように患者様の希望に添えるよう検討支援していくことが患者様のQOL向上に繋がると考えられた。

発表⑤
「引きこもりになった知的障がい者への支援について」
明日香 サービス管理責任者 末松秀章
サービス提供責任者 林稔雄

概要
ダウン症の障害を持つAさんは、以前はスポーツが好きで、他人との接触もけして苦手ではなく元気に生活を送っていた。しかし次第に明日香への出勤拒否がみられるようになり、出勤できない期間も長くなり、3ヶ月以上欠勤が続いた。この間、自宅においても「外出への拒否」「病院受診」も出来ない状況であったが、ケア会議を開催して、Aさんへの支援を在宅関係で居宅介護事業所明日香を中心に行なっていくことにより、外出が出来るようになり、病院への受診をして投薬の処方を受けて間もなく出勤ができるようになった。複数の機関がさわらび会の中にあることで、各機関との連携が取りやすく、本人様、ご家族ともに協力的に受け入れをしてくれた。

発表⑥
「暴力・大声のある患者様の観察にひもときシートの使用を試みて」
福祉村病院2病棟3階 看護師 竹田昌代
看護師 伊藤久美子

概要
ひもときシートの使用を試みて、暴力・大声のある患者様を困難事例と捉えるのではなく、患者様の言動の背景やメッセージに気付き、「本人にとっての問題」を分析。介助者中心の思考を本人中心の思考に転換し、患者様に寄り添うケアをめざし、笑顔で会話ができるまでになった。

発表⑦
「心ふれあう ぬくもりつたわる はじける笑顔の 白珠です
~自慢の家族会を紹介します~」
グループホーム白珠 介護士 河合彩佳
介護士 大原崇弥

概要
平成26年10月18日(土)豊橋祭り総踊りにサテライト会場として参加することになった。「おそろいの白珠Tシャツを作り踊りたい。」と、家族会に相談した所、家族会会議を開き、赤地に白のオリジナルTシャツを作ることになった。当日は42名が参加して、楽しく踊ることができ、皆様の笑顔がとても素敵です。ご家族様と職員は、話しやすい関係が出来ており、豊橋祭りだけでなく、ご家族様と共に活動する機会が沢山ある。

発表⑧
「在宅ケア活動における「連携」の意義と今後の課題」
福祉村病院訪問看護 看護師 石田美穂

概要
在宅ケアが有効に機能するためには、関連機関・専門職間の「連携」は必要不可欠である。今回、長期にわたり訪問看護を利用されている事例をもとに、実践してきたことをまとめ、考察した。在宅療養は、訪問看護だけでは支えることはきないのはもちろんのこと、専門職や非専門職の人々が連携しそれぞれのケアを提供することで個人の生活の質、あるいは生命の質を高めることができるといえる。今後は、広く「地域」を視点に「専門性」と「協調」を基にした「連携」を図ることが、在宅ケアの質の向上につながるといえる。

発表⑨
「高齢者施設への移行について」
珠藻荘 生活支援員 鳥居浩平

概要
珠藻荘においては高齢化が進んでいる。それに伴い、珠藻荘から高齢者施設(介護保険施設)への移行にあたって適用除外施設となっていることが一番の課題となっている。障害者施設から高齢者施設移行へのポイントとして、公的機関との連携とさわらび会だからこそできる、各機関との連携体制の活用などがあげられる。

発表⑩
「ケア・メソッドへの取り組み~あなたらしさを取り戻して頂くために~」
ジュゲム 介護士 鎌子往奈

概要
ケア・メソッドとは、ユマニチュード(人間性尊重)や白雪姫プロジェクトなどのケア方法を参考にして考えた独自のケア方法である。
離床時間が短くなってしまった利用者様や、ご自身食事が出来るのに、職員の過度な介護により、ご自身でやらなくなってしまった利用者様への介護改善が出来るのではないかと考え、自分たちで行える方法(ケア・メソッド)を取り組んでだ。取り組みを行うことで、少しずつであるがよい方向に変化していくことで接し方の重要性を感じた。日々の仕事の中で慣れや忙しさから、利用者様としっかり向かうことができていなかったことを反省・改善する機会になった。

発表⑪

「腸内環境を整える一つの試み」
第二さわらび荘 管理栄養士 黒栁啓子

概要
第二さわらび荘では、下剤などを極力削減し、自然排便を促す活動に日々取り組んでいます。昨年の介護力向上講習の試みもその一つです。またその考えをより実現させる一方法としてサプリメントの導入を試みてきました。その中で「ビフィズス菌末」を使用した試みとして、下剤の使用量を抑える、便の形状が良形になり悪臭を抑えるなどの効果がみられ、「おむつ0」の一方法として効果がみられた。現時点ではビフィズス菌末が一番効果的であった。しかし、高価であることなど今後の課題もみられた。


発表終了後、参加者による投票が行われ、山本左近統括本部長より最優秀賞、優秀賞、審査員特別賞の発表が行われました。
最優秀賞
「腸内環境を整える一つの試み」

優秀賞

「心ふれあう ぬくもりつたわる はじける笑顔の 白珠です~自慢の家族会を紹介します~」
「高齢者施設への移行について」

審査員特別賞
「気管切開離脱に向けての看護的援助の取り組みと他職種との連携」
「ケア・メソッドへの取り組み~あなたらしさを取り戻して頂くために~」

(さわらび地域包括支援センター 勝山)